“独創的な世界観に吸い込まれる”『四畳半神話大系』

「僕なりの愛ですわい」
そんなことを言う悪友にはこう言い放ちましょう。
「そんな汚いもん、いらんわい」と。

主人公の”私”は、京都を舞台に東奔西走。
あっちで人の恋路を邪魔すれば、こっちで大学の先輩の暴露映画を作ったり。
はたまた、怪しい師匠の弟子になってみたり、京都に根付く秘密結社に所属したり。

しかし、驚くなかれ。

そんな奔放な物語であるのに、
青春、友情、恋、そして自分自身とは何なのか…
そんな問いに一つの答えを出してくれる、それが『四畳半神話大系』なのです。

-読み終わった後、あなたはこの世界の虜になっているでしょう。

©森見登美彦・角川文庫
画像:公式HPより引用

 

 

■こんな人にオススメ

★独特な世界観に浸りたい方
★本を読み進めるのが苦手な方
★言葉遊びのような文章が好きな方
★朗読等を聞くのが好きな方
★友情や恋に悩んでいる方
★自分に限界を感じてる方
★薔薇色のキャンパスライフを送りたくても送れなかった方
★京都が好きな方
 
※本紹介記事では、主に【小説版】についての紹介をしております。

 

■推しどころ!

<とにもかくにも世界観>

「独創的な世界観?」と、皆さん思うでしょう。
しかし、さっと手に取って読み始めれば、この言葉の意味がすぐに分かると思います。

主人公の一人称視点で書かれた文章には、独特な比喩や表現がこれでもか使われています。
長いのにすらすらと頭に入ってきて、どんどん読み進めていくことのできる不思議な文章です。

例えば。
小説の冒頭で主人公が自分の学生生活について語ります。

大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。
異性との健全な交際、学問への精進、肉体への鍛錬など、社会的有為の人材となるための布石の数々をことごとくはずし、
異性からの孤立、学問の放棄、肉体の衰弱化などの打たんでも良い布石を狙い澄まして打ちまくってきたのは、なにゆえであるか。
責任者に問いただす必要がある。責任者はどこか。

©森見登美彦・角川文庫『四畳半神話大系』 第一話 四畳半恋ノ邪魔者より

これは、著者である“森見登美彦”さん独特の文体です。
他作品でも同様の文体を使われていることが多く、いわば『森見ワールド』といったところでしょうか。

僕もこの『森見ワールド』に魅了されて、この方の作品ばかり読んでいました。笑

また、僕の考えるこの作品の一番のテーマとしては、『今の自分を見つめること』だと思っています。
(もちろん、他にもテーマと呼べるものが多く含まれていますが)

今の自分を見つめることで先の自分が見えてくる。
そして、自分にとっての『有意義』とはどんな意味なのか。
そういったメッセージ性も持った素晴らしい作品です!

 

■作品紹介

<あらすじ>

主人公の“私”は大学の三回生。
彼は後悔していた。

一体何に?
そう、自分のキャンパスライフにだ。

勉学に励み、サークルで友人を作り、そして黒髪の乙女と付き合う…
そんな入学当初に描いていた『薔薇色のキャンパスライフ』

しかし、現実は悪友“小津”との怠惰で阿呆な日々。

そんな彼に転機が訪れる。

ある日の夜。
行きつけの屋台“猫ラーメン”へ赴く主人公。

そこで彼は『神様』を名乗る男と出会う。

「何なんですか、あんた?」
「神様だよ、貴君。私は神様だ」

© 森見登美彦・角川文庫『四畳半神話大系』 第一話 四畳半恋ノ邪魔者より

そして、自称神様は告げるのだった。

君も知っているこの女性、明石さんの縁を誰かと結ぼうとしている。
―つまり、君か小津君かのどちらかだ。

© 森見登美彦・角川文庫『四畳半神話大系』 第一話 四畳半恋ノ邪魔者より

 
<主人公の目指す先>

大学の入学時に思い描いていたキャンパスライフが理想とかけ離れてしまった主人公。
この主人公が自負の念や後悔を乗り越えて、自分自身の有意義なキャンパスライフをつかみ取る、というのが物語の大筋です。

また『四畳半神話大系』では、ありえたはずのキャンパスライフを描くという手法で、いくつかの物語がパラレルに綴られています。

「もしこうしていれば…」「もしこうなっていたら…」
それぞれの物語で、主人公はどのようにして薔薇色のキャンパスライフを掴み取るのか。

そして迎える最後の物語は…
ぜひ、自分の目で確かめてみてください♪
 

<個性的なキャラクター>
『四畳半神話大系』では、主人公を筆頭に個性的なキャラクターが多数登場します。

特に主人公の悪友である“小津”の存在は際立っていて、各所で問題や騒動を起こしまくり、主人公からも「小津と出会ってさえいなければ…」といわれるほどの曲者です。

しかし、どこか憎めず愛着がわき、一度本作を読んでしまえば一生忘れることのできないキャラクターとなるでしょう。
かくいう僕も、人生の中で印象に残るキャラクターとして、一番に思い起こされるキャラクターはこの“小津”です。笑

他にも、映画サークル『みそぎ』の“城ケ崎先輩”や主人公の後輩である“明石さん”など、
どのキャラクターを取っても非常に個性的で、この『四畳半神話大系』を語るには不可欠の存在と言えます。

この作品を読んだ方には是非「どのキャラクターが一番好きですか」という質問をしてみたいほどです。

 

■メディア情報

『四畳半神話大系』はアニメ化もされています。
(1クール、全11話)

特徴的な文章や文体をどんな風にアニメにしているのか…
気になる方もいらっしゃると思います。

先に言っておきます…
めちゃくちゃ良いです!!

特に第10話は必見です。
アニメ史的にも伝説的な回となっていますので、是非見ていただきたい…!

ちなみに、小説とアニメどちらを先に見れば良いのか、という質問についてですが。

個人的には、画風が合うのであればアニメから。
さらに言うなら、第01話だけでも。
(本記事執筆時には、アマゾンプライムで第01話を無料で見れました)

理由としては作品のイメージを持ちやすくなるからです。
アニメ版も小説の文章を最大限に生かした作風となっています。
そのため、アニメを1話でも見ると小説が非常に読みやすくなると思います。

ただし、逆に言えば作画や演出等が独特なので、
キービジュアル等を見て「あまり合わないかも…」と思った方は小説からで大丈夫だと思います。

 

■最後に

独特な世界観。
個性的なキャラクター。
不思議と読み進めてしまう文章。

本を読むのが苦手な方から、読書家の方まで。
また、学生の方や社会人の方まで。
とにかく、幅広くどんな方にもオススメできる作品です!

本作をオススメすることが作品、そして読者の皆様へ贈る『僕なりの愛』です♪

それでは最後に。
本作より一文を抜粋させていただいて終わりにしたいと思います。

「可能性という言葉を無限定に使ってはいけない。
我々という存在を規定するのは、我々がもつ可能性ではなく、我々がもつ不可能性である」

© 森見登美彦・角川文庫『四畳半神話大系』 第二話 四畳半自虐的代理代理戦争より

 

■作品情報

作品名 四畳半神話大系
媒体 小説・アニメ
著者/脚本 小説:森見登美彦
      アニメ:監督・湯浅政明/脚本・湯浅政明 上田誠
出版/制作 小説:太田出版
      アニメ:マッドハウス
公式サイト アニメ:https://yojouhan.noitamina.tv